結婚当初、姑と上手く
噛み合わなくて、
会うと気疲れしていた。
意地悪されたりはしなかったけど、
気さくで良く大声で笑う実母に比べ
足を悪くするまでずっと
看護士として働いていた姑は、
喜怒哀楽を直接表現せず
シャキシャキ・パキパキ黙々って感じで、
ついこっちも身構えてしまっていた。
何となく
「私、あまり好かれてないな」
と思う時も有って、当たり障りなく
つき合っていた。
その年は、私が秋に二人目を
出産した事もあり、混雑を避けて
一月中旬に帰省する事になった。
そして早朝、今まで感じたことの無い
揺れと衝撃を感じた。
阪神淡路大震災だった。
朝釣りに行くという夫達の為に、
お弁当と朝食を作っていた私と
姑は立っていること出来ずに座り込んだ。
食器棚が空いて、次々と
皿やグラスが降ってきた。
名前を呼ばれた気がして目を開けると、
姑が私に覆い被さっていた。
私を抱きしめる腕も肩も頭もちが出ていた。